Macintoshはどうなるのか

  ついに来るべき時が来た。「これなら、まだAppleがつぶれた方が心配の種が減ったね」とそのニュースが飛び込んできた時に、そばにいたAppleユーザーのキシシタくんと話しあったものでした。マイクロソフト社がMACWORLD Expo Bostonの最中になんらかの動きをする、というのは、事前に知っていましたが、まさか、Apple社の株を取得するなんて思いもしませんでした。

詳しくいえば「マイクロソフト社はApple社の議決権を持たない株1億5000万ドル分を取得し、なおかつこれを3年間手放さない」さらに、「Apple社はマイクロソフト社のInternet ExplorerをMacintoshのデフォルトのブラウザとする。マイクロソフト社はMac OS用の『Microsoft Office』を今後5年間は開発する」というものです。いってみれば、相互乗り入れみたいなものなんです。MicrosoftのCEOであるBill Gates氏が、Macintoshの GUI(グラフィックユーザインタフェース)を気に入っているのは疑いもない事実です。コマンドラインインタフェースのMSーDOS上でさらにGUIを載せる形でウインドウズを開発し、その結果、なんだかMacに似た商品が登場したのは歴史の示す通りです。

  早とちりの一部マスコミは、マイクロソフトの軍門に下ったように書いていますが、それは間違い。Bill Gates氏が本気になれば、Appleそのものを買収することだって可能でしょうけれど、そのようなことをすれば、Appleの社員のみならず、Macユーザーから総スカンをくらうのは目に見えています。僕の友人の多くがいまだにマイクロソフトに買収されたと信じているのだから頭が痛い。

 とはいえ、誰かはMacintoshを手中に収めたいのは事実。経営がへたなAppleを助ける形なら逆に歓迎され、しかも、合法的にMacintoshに近づけます。たかがパソコン全体の10%に満たないAppleのシェアを欲しくて、行ったことではないように思えます。そんな目先の欲よりもっと大きなものが視野にあるようです。むしろ、ウインドウズをより完成したものにするために、こうした手続きをとったのではないでしょうか。また、非常に思慮深く石橋をたたいても渡らない、失敗しないために常に別の方法(口の悪い人は二股をかけると表現していますが)にもアプローチしておく、という慎重さが売りがBill Gates氏ですから、WIN、Macどちらに転んでも大丈夫なように手を打った(どうみてもシェア的にはMacは不利なのですが、とにかくリーチをかけておきたい)のでしょう。将来のMacintoshのOSでは、ご存じのように、ウインドウズそのものが動きます。そうなれば別にウインテルのマシンだけがウインドウズを動かすわけではありませんから、ウインユーザーのマシン選択は広がり高性能で使いやすいMacマシンも選択の一つとなるのです。ウインテル陣営のマシンよりもMacintoshそのもの、あるいはMacintosh互換機が気に入り、乗り換える人も出るかもしれません。そうなると、どっちにユーザーが行ったとしても儲かる仕組みに気が付いている人がいるのですねえ。頭がいい。ますます特定の人物に金が転がる仕組みです。

  さて問題はこれからです。ある日気が付いたら、ウインドウズのGUIがまったくMacそのものであったとしても驚かない心構えだけはMacユーザーもウインドウズユーザーも持っているように、ということを今度のMACWORLD Expo Bostonは教えてくれたようです。すんません、冗談です、悪い冗談でした。いずれにしろ、新しいOS開発にBill Gates氏が加わってくるのは、悩みの種であることは確かですが、この提携によって、OSが完成するまでの期間、Apple社の経営は安定するでしょうし、よりよりOSとなることが確約されたようなものです。

  さらに唯一の救いはApple社創設者のSteve Jobs氏が今のApple社には存在していることではないかと最近考えています。Bill Gates氏と互角に渡り合えるのはSteve Jobs氏ぐらいでしょう。

いつ起動してもにこにこMacが現われ、AppleらしさにあふれたOSと匡体で僕らをわくわくさせてくれるパソコンは、やっぱりMacintoshしかない、ということをこれからも伝えていってほしいものです。<8/15/97記す、8/24/97補足><つづく>

<次号を読みたい、まだ書いてないけど>

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