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1996年に20周年を迎えたムーンライダーズのメンバー、武川雅寛が、これまでだれも思いつかなかった「冬の湘南」(夏ならクワタくんとかカヤマくんとかだれもが考えるけどね)をテーマにまったく新しい形でイージーリスニング・ミュージックを作ったわけですね。不勉強にして湘南には行ったことがないのですが、こういう音楽聞きながら海辺をミゼット(昔のやつね、by DAIHATU)で走ればもう映画ができてしまいますなあ。ムーンライダーズっぽい音もあってなかなか素敵ですよ。別に湘南でなくとも恋人と車を走らせながら聞いているとちょっともの悲しい雰囲気が、逆に2人の間の距離を縮めてくれそう。武川自身が鎌倉の海のそばに住んでいます。凛とした厳しい「冬の海」を愛しているから、たぶんこういう心地良い楽曲が作れるんだと思います。ジャケットのビジュアル面は、葉山に「SUNLIGHT GALLERY」を持ち、日常生活に根差したアート活動をしている永井宏が担当。武川の10曲とともにコラボレート作品となっているわけです。(ファンハウス、FHCF-2345、3000円)
ぼくの好きなテクノ系ポップも年のはじめですのでぜひ紹介しておきましょう。うわさのHyper POP TECHINO UNITの登場、と徳間ジャパンのイチオシがこのgirl meets loveというユニット。ポップで、キュートで、スウィートで、ロマンティックで、胸キュンする、という売り込みですが、胸キュンはおいといてキュートで、スウィートで、ロマンティック関係は「○」ですね。なかなか古風な雰囲気のあるテクノポップで、なんだか懐かしい感じがして、胸キュン、あああ、これが胸キュンなのですね 。じゃあ、ほとんど売り込み文句と同じじゃないですか。テクノ系と聞いただけで「ゲッ」と聞かなくなる人もいるんですが、これはなかなかポップスしていますよ。完全にはじけてますもん。ボーカルの「aki」の好きな色は「シルバー、ターコイズ、ブルー、イエロー、レインボー」というまさにそれっぽくてうれしいし、サウンドプロデューサーのT2yaの好きなアーティストがビートルズにならんでYMOを押さえているのもいいねえ(ストレート過ぎますが)。ダンスミュージックシーンあたりで火がつけば、97年はこのユニットが新しい波を作ってくれそうな予感がします。(徳間ジャパン・コミュニケーションズ、TKCA-71081 、3000円)
「火把祭(ホウバーシェ)」という中国雲南省の少数民族が松明(たいまつ)の火を囲んで人々が手をつなぎながら踊ったあと、その炎からもらい火をして、それぞれの畑に行って虫払いする、という伝統行事があります。この行事を取材し影響を受けた今野の作った楽曲がタイトル曲にもなった「Torch〜大地と空が出逢う街から〜」。元プリンセスプリンセスのメンバーと何度も紹介しなくともいいように、彼女は、新しい道を灯し出してくれる「たいまつ」を見つけだしたようです。これは6曲入りのミニアルバムですが、今野のこれからの方向性を示しているようです。全体にアコースティックな楽曲が多く、年相応(たぶん)の大人の女性が歌う繊細で、透明感あふれるつくりになっています。ナチュラルが売りの方向も今後楽しみ。どっしり落ち着いたミニアルバムとなっています。「プリプリ」という過去のバンドの名前を持ち出さなくても、助走は成功したよう、次は本格的なアルバムを。(ファンハウス、FHDF-2339、2000円)
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筆者/copy right=フルタマコト cdnewsjp@yahoo.co.jp