|
いきなり銃声のエフェクトサウンドのオープニングに「ハードボイルドだどう」とちょっとびっくらしましたねえ。大変、渋い出だしじゃ。こういうのとってもいいのう。全体に映画的手法で迫ったアルバムになっています。『GRASS VALLEY』 、『REV』といった二つの伝説的バンドで活躍した出口のソロ第2弾アルバムがこの「エゴイスト」。「EGOIST」、「SHAKE BEAT」、そしてshoutする「FLUTE」といった3つの言葉が今回のアルバムのテーマになっているという。あまりにもカッコイイ。彼の美意識に裏付けられた曲は、デジタル時代のハードボイルドとでもいおうか。男とか女とかじゃない、結局、人間としてのどう生きるかという選択を突きつけられた時、僕らはどんな答えを持って生きていくのか。それが問われているよう。それぞれの問題である、と。意識する、しないに関わらず、僕らは常に問われているのかもしれません。でもこういうふうにCOOLに生きるのも一つの選択で、よいのかもしれません。ちょっと疲れるかもしれないけれど、実に凛々として矜持があって最高の生き方ではないかと思います。(ファンハウス、FHCF-2362)
三宅伸治のソロ・アルバム。よくクレジットを見ると「三宅伸治&ザ・トランプ」が演奏者クレジットになっております。では、ザ・トランプに相当するメンバーを紹介すると、忌野清志郎、甲本ヒロト、真島昌利、手塚稔、白井幹夫、吉田学、片山広明、佐藤春樹、早川紀子、藤井裕、富岡義弘、川上剛、杉山章二丸、橋本潤、新井田耕三、仲井戸麗市といったそうそうたる顔が並ぶ。三宅が仲間とともに実に伸び伸びやっている雰囲気のするアルバム。参加メンバーのコーラスやら、ギターが聞こえてくると、その和気あいあいとした感じに聞くほうもつい筋肉が弛緩してしまい、実にリラックスさせてくれるわけ。しかも楽しい。曲だって、ロックンロールから、ブルース、R&Bまでバラエティー豊か。いろいろ入っている「お好み焼き」的アルバム。ぼんやりした中にも、なんだか、朝から元気いっぱいになってしまう不思議な曲「朝だよ#2」という歌など全11曲がありまして、どれも実にいい味が出ていて好きなんですねえ。一生懸命じゃないけれど、なんかちょっと肩の力の抜けた共感を呼ぶ楽曲ぞろい。
ほんわかソングなのに実に夢あふれている「僕の空想」は60年代歌謡曲風でおすすめ。ああ“俺はロックの奴隷だ”なんて実にうまく言うなあ。曲名は「プリズナー」。うまい。僕らはみんなプリズナーなんだ。シャウトしまくって、気がつきゃロックの奴隷。なんだあなたもプリズナーなの。こうなりゃ、次回作は「ロック音頭」あたりであろうか。期待して待っております。(日本コロムビア、COCA-14025)
はいはい。この曲聞いたことありますねえ。1977年上半期(ってまだ早いか?)話題曲「ストーカー逃げきれぬ愛」の主題歌でしたねえ。そう、坂本龍一featuring Sister Mによる「The Other Side of Love」。この曲の日本語訳(売野雅勇作詞)曲といってもよいのでしょう。中谷のエキゾチックな歌声が 透明感あふれる歌声のSister Mに負けない、ちょっと大人の味も出ていて違った楽しみかたができます。このシングルはリミックス・バージョンもあって坂本教授の楽曲を思う存分楽しめる仕掛けにもなっています。それにしても、この曲は今年の話題曲に絶対なりそう。いつのまにか世界のサカモトになった教授の初めて手がけるテレビ連続ドラマの主題歌。これだけでも話題なのに、ドラマのテーマも衝撃を与え、それにも増して曲の出来が素晴しい。もうこれだけお膳立てがそろっていて、結構プレッシャーがかかるはずなのに中谷はさらりと歌っています、これも実にすごい、と思いませんか。(フォーライフ、FLDG-1009)
筆者/copy right=フルタマコト cdnewsjp@yahoo.co.jp