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自宅から逃げた文鳥に公園で餌をやっていた見ず知らずの男がくれたオーケストラのコンサートチケット。コンサート当日男は現われず、舞台を見ると、なんとタクトを持ったあの男が現われ一礼する、というまるでテレビドラマ(あっこりゃ、失礼、本当にテレビドラマでした)のようなストーリー。文鳥を逃がしてしまった、結婚している女性役に薬師丸ひろ子ちゃん。フジテレビ系ドラマ「ミセス・シンデレラ」。音楽がドラマの重要な要素になっているでしょう。男が劇中で指揮するメインテーマが「Flying」とか、この女性のために指揮者が書いた「Heaven's Song」などが収録されております。
テレビで見て、流れている曲が気に入ったらCDショップでは、テレビの主人公“堀井光”の名前じゃなくて、実在のユニット「S.E.N.S. 」とご指定のうえ、お求めください。S.E.N.S. としては、なんと通算21枚目のアルバム。ドラマ関係では「あすなろ白書」「出逢った頃の君でいて」「輝く季節の中で」などに続くものです。非常に美しくて、きれいな旋律に聞き込んでしましました。浮遊感のある曲は、先ほど紹介した「Flying」であったりしましてなかなか楽しませてくれます。(FUNHOUSE、FHCF-2378、2854円)
先週は斎藤誠と近藤名奈(NANA)による新しいユニット「PALMS」の紹介をしましたが、今回は元・東京パフォーマンスドール(TPD)です。元「TRACY」の柴垣照彦が 元TPDの穴井夕子に楽曲提供をしたことから1996年から始まった「Orange」の活動。今年2月、ファーストシングル「私は笑っていた…」をリリース。この「平和な国の子供たち」がセカンドシングル。ご存じのように、今日本では、神戸市内で残虐な犯人による小学生殺人事件が起きていて、とても子どもたちを取り巻く状況が平和とは言い難い状況となっています。そういう意味では全くひどいタイミングで発売されたシングルといえますが、これはOrangeのメンバーのせいでもなんでもない点をあえて確認しておきたいのです。ひとえにあの犯人が悪いのですが、タイミングの悪さはどうしようもないものがあります。過去にも普段ならなんの問題もない、陽水が「お元気ですか?」と車助手席の窓を開け、隣を走行中の車に呼びかけるだけの車のCMが、ある高名な方が病床にあったため、途中でお蔵入りしてしまったことがありました。これもタイミングの悪さが原因で陽水やその車が悪くはなかったのです。
この歌の歌詞は、平和ニッポンのお気楽な若者を風刺していて実におもしろいのに、きっとこの事件の影響で注目されない(あるいは無視される)のではないかと思います。Orangeのメンバーにとっても、この憎むべき神戸の事件犯人が一日も早く逮捕され、解決されることを願っていることと思います。タイミングを逃すと、この曲は二度と聞けなくなるかもしれませんのであえて紹介いたします。(EPIC SONY 、ESDBー3758、1020円)
サンプラザ中野のテンションの高いヴォーカルは相変わらずで、この明るさが好きな人も多いはず。最新のシングルは日本テレビ系「Shin・D」のエンディング・テーマ「天使の涙」。トラボルタの「MICHAEL」以降、どうも電車の中でも扉にもたれて疲れた様子の天使が見られるようになってきたのですね。都会の最終電車では珍しい光景ではないのでしょう。今日をあなたとの約束通り死なずに眠れそうです、というちょっと神学の世界に立ち入ったような歌詞が印象的です。天使もいろいろ大変なのです。疲れて涙を流している天使がいたって不思議はないのですが、胸にぐっとくる歌です。
カップリングはかなりドライブ感のある「カンカン」。踊りのカンカンじゃなくて「もうおいら怒ってんだぜ、カンカンだぜ」のカンカン。眉がうまく決まらない、満員電車での嫌な思い、コピー取りばかりの仕事、ドタキャンの彼…、思わず責任者出てこい(by 人生幸朗)と叫びたくもなりますよね。サビ部分の「こんな生活やだ〜!」とカラオケで歌いこむと、気分もすっきりとして良いかもしれません。腹の立つことばかり発散させるには、こっちの歌ですが、「天使の涙」をしっとりと歌った後に、「カンカン」という盛り上げかたがよいかもしれませぬ。って、いつのまにやらカラオケ指導員になっていたりして。(SONY RECORDS 、SRDLー3683、1020円)
筆者/copy right=フルタマコト cdnewsjp@yahoo.co.jp