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デモテープが坂本龍一の耳にとまり、彼の gutレーベルからデビューしたのが Yukie。言葉に曲が次々に盛られているような、そうラップのようなダンサブルな曲が多い。全体的にスローで落ち着いた、いわゆるメロウな楽曲がならぶ。でも、歌詞に描かれた内省的なYukieの世界は、みずみずしいくらいで、そっとふれるだけで、今にもこわれてしまいそう。聞き入っていると一緒に落ち込んだりします。落ち込んだりするけれど、それを冷静に見つめているYukieの姿もあります。いつもは苦手なテリトリーなのに、こうしてYukieのアルバムを聞けるのはどうしたことだろう。デビューシングルでもある「いっぱい手をつないでね」って共感してしまう。開け放した窓から眺める空に感動して、つながっている、この世界のすべてにつながっているという気持ち。いいひとだなあYukieは。とても静かな曲がならんでいるのに、僕は圧倒されてしまいました。この夏静かに自分や世界に向き合って(ということは今まで向いていなかったということですよ)みたい人、傷つき過ぎてたまらなくて、せめて一枚だけCDを、というときに、あるいはなんだかとっても先をいそぎすぎて生きてきてしまった都会人(別に都会に住んでいなくても精神的、あるいは肉体的ないわゆる追いまくられて生活している人、というふうな意味ですが)に、ぜひ聞いてほしいアルバム。(フォーライフ、FLCG-3029、3059円)
ここんところ、ずっと車(現在、夏の日射しを一身に受けてオーバーヒートならびにバッテリー自身が
交換を所望し続けているという状況です。でも、時々、なんらかの拍子にエンジンがかかり、ラッキーと思ってシートに滑り込むんですね。このあと何度JAFのお世話になろうとも、おかまいなく走ってしまう。困った車、いやいや車のせいにしている僕の方が悪いのですが、この暑さも悪い)の中で、バッテリーの容量を計算しつつかける平岩英子の楽曲。何度も聞いているうちに同化してしまってCD NEWSで紹介するのをすっかり忘れておりました。彼女の歌声もなかなかのもので、好きなんですが、Yukieの世界のように、思わず自分をあるがままに見つめて受け入れるという曲(「水のように」)もあってはっとされます。平岩のセカンドアルバムは、もう少しバラエティーに富んでいます。浮き浮きした曲の中に芯のしっかりしている姿が見えたりしています。ちなみにタイトルの「Airium」は「Aquarium(水族館)」をヒントに「空族館!?」。
なんだか今週のCD NEWSは妙に、内省モードですねえ。まあいいか、ふだんあんまり自分のこと考えないから、こういう機会によく考えてみよう。続けて二人もガールポップの新人を紹介しましたが、なんだかしっかりしていますねえ、最近の女性は。それにくらべて、この僕は…、いかん、また内省モードになっております。(EPIC SONY、ESCB-1808、2854円)
もうこうなれば、今回は、ヒーリングミュージック特集でいくぞ。ヒーリングの大御所、宇井かおりのサードアルバム。その名も「Destino」だもん。シャベリタランティーノ(すんません関西でしか通用しないローカルギャグで)ではございません、そう「運命」なんです。アルバムの帯(昔は腰巻とかいいましたかねえ)にも「あなたが彼女と出会ったのも「運命」です」とあります。こういうこと書かれていると、ついカウンターまでCDを手にして持っていってしまう(のは僕だけ?)じゃないですか。あはは。
そう赤い糸の伝説も想像できますねえ。ちょっと前の言葉なら「見知らぬあなたと見知らぬあなたが出会う運命のひととき」なのです。あれれ、またまた静的、内省モードになってしまいましたが、透明感あふれる宇井の歌い声(ちょっとまどろびながら聞くと最高です)に包まれ、「ドラセナ〜真実の木〜」「悲しみにまけないで」など10曲を聞き終えると、どうです、ほらあなたも気分爽快になったでしょう。(FUNHOUSE、FHCF-2373、3059円)
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筆者/copy right=フルタマコト cdnewsjp@yahoo.co.jp