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先日「こんにちわ! S.E.N.S.です。」のタイトルで始まるメールを突然いただきました。よく見れば差し出し人は、S.E.N.S.のメンバーの勝木ゆかりさんです。ぼくは映画「非情城市」の音楽以来S.E.N.S.のファンなので、まさかメールをいただけるなんて思わず、なかなか気持ちのよい一週間を過ごせました。メールによれば、NHKで放映された「故宮」について『今年も、再放送やら30分ものやら いろいろ予定があるようなので機会があったら、見て下さい』とのことです。そうです、みんなで見ましょう。この長いNHKスペシャルも3月30日on the airの第12集「最後の王朝」〜清〜でフィナーレとなりそうです。「故宮」は、北京と台北の2カ所に分かれて収蔵されている170万点の文物にスポットライトをあて、中国5000年の歴史を探る番組。さすがにNHKらしく金のかかったプログラムになっています。S.E.N.S.は、この全12回の大型スペシャル番組の音楽を担当しました。映像の素晴しさもさることながら、S.E.N.S.の音楽によって完璧になったといっても過言ではないでしょう。一度番組を見てください。さて、「Palace Seeds」は1996年7月発売の「Palace Memories」(ファンハウス、FHCF-2298、3000円)、1996年11月発売の「Palace Sketch」(ファンハウス、FHCF-2343、3000円)に続く「故宮」3部作の完結編で「Seeds」には未来に向けての「種」という意味が込められているようです。まさに希望のあふれる未来が、この音楽にはつまっているわけです。日曜日の午後のひととき、じっくり耳を傾けてみてください。勝木さんのメールには『4月からフジTVのドラマ音楽を担当します。タイトルは、’ミセスシンデレラ’薬師丸ひろこさん主演です』としっかり次の仕事の予告が書いてありました。薬師丸ひろこさんも久々の登板で、春の番組改編楽しみですね。S.E.N.S.関係のホームページはhttp://www.999.com/amuse/coming/index.htmlへ。(ファンハウス、FHCF-2360、3000円)
米米の「オリジナル・ラスト・アルバム」ってアルバムのカバーに印刷シールが貼っているからたぶん本当にラストアルバムなのでしょう、この業界の常でひょっとしたらベストもの程度は忘れたころに出るかもしれませんが。米米パワーは本当にものすごくて、公休取って大阪から遠路はるばる横浜のコンサートに新幹線で駆けつける某映画関係者とか、亭主自宅においといて子どもも実家に預けてコンサートにいそいそと出かけるような熱心なファンらに支えられ、そのおかげでコンスタントに客が入るライブ活動をしてきたわけです。米米無きあとのことを想像すると、日本の映画界もサラリーマンの家庭の平和も根底から揺らぎそうな感じがして実に心配なのです。このパワーのはけ口を探しておかなくては、と思いつつこのアルバムを聞くとさらに心配が増幅されるわけ。米米命の人々はこんなにも完成度の高いアルバムを聞いてしまうと、ますます解散が残念になるわけです。もっとへたっぴいなら諦めがついたものの。どうすれば受けるか、どこをくすぐれば、確実に客は喜んでくれるか、ということを知り抜いているわけです、このメンバーたちは。こうなれば「米米CLUB Jr.」など後継者を育てるしかないじゃないですか。そいでもってこうした熱心なファンの子どもらがライブチケット握り締めながら親子2代で楽しみにコンサート会場に集まってくる日をひたすら待つわけです。これは超高齢化社会への明るい希望の星となることでしょう。そういう意味もあって精子の図案化された箱ジャケットになっているのでしょうね。渋い実に渋い演出だ。計算され過ぎていてこわい。それにしてもポスト米米CLUBの対策を考えた人こそこの業界の覇者となれるわけでこれは楽しみにしておこう。14曲目の「迷路’97」にみられるように最後まで変わらぬ芸風に多くのファンは感涙したことでしょう。さてそこのあなた、これから一体何に情熱を傾けたらよいのかお悩みのようで。ではとりあえず、このCD NEWSを毎週読むことをおすすめします。で次のひいきを探し出しましょうね。(ソニーレコード、SRCL-3766、2800円)
難儀ですなあ、米米無きあとのバンド界。そんな中で、見つけたpugs。やたらガシャガシャした音で、なんだかわけが分かんない、音はヘビメタ系ですけど、歌詞はひところの米米並みにきわどくておもしろい。むしむし天国だから、全員昆虫風の格好をしているので、よけいこの人たちなんなんの?(*_*)って感じになりますけれど、まあ悪い人たちじゃないことだけは確かではある、と…。今でも突然復活コンサートしたりして一部の熱いファンを泣かせている憎い関西バンド、「誰がカバやねんロックンロールショー(誰カバ)」のような難解さとシンプルさがあります。誰カバがダンシング義隆という男性ヴォーカルだったのに対してpugsはHONEY☆Kという女性ヴォーカルといった違い。かわいいHONEY☆Kがもうオソロシキメンバーに耐えながら(勝手にぼくはそう理解している、ごめんね)頑張っている点が非常にはらはらしながら聞けるのですよ。滅茶苦茶という点では誰カバと互角の勝負かな。pugsの方がより緻密に計算されているようにも感じます。でもより厳密に、さらに正確にいえば、誰カバは紙と鉛筆持って計算するんだけれど、いつも加減乗除が苦手で計算間違えが多くてどうも正解になかなか到着しえなかった、と表現したほうが事実に近いかな。でも、誰カバはぼくにとって大好きなバンドであり、この虫さんたちのコスチューム着せられてみんな戸惑っている写真を撮られているpugsのメンバーもとてもいとおしくて好きです。(日本コロムビア、COCA-14011、3000円)
筆者/copy right=フルタマコト cdnewsjp@yahoo.co.jp