毎週日曜発行
mako-rin's CD NEWS
更新日時=1998年04月26日午後02時25分
Presented by Makoto Furuta,1991-2004(c)
cdnewsjp@yahoo.co.jp
◎☆☆☆☆「九段」井上陽水
井上陽水の3年5カ月ぶりのアルバムは、バラエティーあふれるサウンドが潜んでいて、11曲すべてを楽しめる仕掛けとなっています。1曲目の「炎熱の月明かり」はアコースティックなバラードでリスナーを迎えます。1991年福岡で開催された「ACOUSTIC REVOLUTION」で一晩だけ結成されたバンド「ハバロフスク&マフィア」の未発表曲なのです。気になる「ハバロフスク&マフィア」のメンバーは忌野清志郎、高中正義、細野晴臣に陽水といった顔ぶれ。豪華そのものです。
それに続く「SINGING ROCKET」は、「プシュー」というロケットサウンドがチープで素敵だ。たぶん陽水が自分で「プシュー」って言っているに違いないですが、なぜか聞きおえると耳に残ってしまって、時おり、「プシュー」と言ってしまう。気に入らないことあるとすぐに口から発射できるのと、被害がゼロなのが売り物です。「プシュ〜〜」。
そうかと思うと布袋サウンド満載の「アンチヒロイン」なんてのもあるから楽しい。この曲は陽水が作詞、布袋寅泰が作曲(編曲も)し、なおかつ華麗なるギターワークで参加しています。そうかと思えばナイアガラサウンドが陽水のところで突如爆発したのか、と思うほどのフィル・スペクターばりのウォール・オブ・サウンドを聞かせてくれる「TEENAGER」も収録されていているから、これがきっかけでナイアガラーばかりでなく陽水ファンもフィル・スペクターサウンド探しの旅に出ることになるかもしれません。ストリングス、コーラスを堪能できます。
「ビルの最上階」は6分30秒に及ぶ作品。15階建てビルディングが舞台。大都会に本当にありそうなビルディングを題材に、現代の私達の暮らしぶりや置かれている状況を見事に歌っています。以前の作品「最後のニュース」のようにテレビのニュース番組のエンディングに使われるといいのにね。あまりにリアルなメッセージソングに使う勇気を本当に持っているテレビ局がこの国にあるかが問題でしょうけれど。ところでこのビルの最上階に住む人物って一体誰なのか、想像するだけでまた眠れなくなりますね。そんな人は最後11曲目の「長い坂の絵のフレーム」がいいかもしれません。途中から夢の世界にいざないます。柵を超える羊の数を数えるより早めに眠れます。陽水流気配りかもしれません。(FOR LIFE、FLCFー3711、3059円)
◎☆☆☆☆「あなたの手」今滝真理子
24:00から25:15(こんなでたらめな表記しているのは、とぼけた放送局くらいなものですが、午前0時から午前1時15分って素直に書けばいいじゃないの)にかけて衛星放送されているNHK BS-2「真夜中の王国」という番組のエンディングテーマソングに使われているのが今滝の「あなたの手」。
シンガーソングライター、今滝の3枚目のマキシシングルとなりますが、4曲中3曲が彼女お得意のバラード曲となっています。今滝のイメージは、4曲目に収録されている「海の見える部屋(TAKE 2)」の歌詞にあるように「海の見える部屋で好きな服着てテラコッタの床に裸足で座って」ギターを弾き語りしているような感じです。
「あなたの手」は懐かしい優しさ、すべてを包み込んでくれる、そう包容力というのでしょうか、そんなあたたかさを歌ったものです。続く「どうして」は恋愛関係、それも良い方じゃなくて失恋の歌。自分から離れていってしまった人に、あるいはそんな人を愛してしまった自分自身にたずねますーー「どうして」。
小田和正のコンサート(97年9月から98年2月)にゲストコーラスとして参加。その時に評判だった「夏の終わりに」もアルバムとは別バージョン「夏の終わりに(TAKE 2)」として収録しています。この歌もじっくり聞くと別れの歌なのですね。今滝の透き通た声を楽しんでください。(FUNHOUSE、FHCF-2416、1260円)
◎☆☆☆「Kissが哀しい」郷ひろみ
なんだか最近はベストセラー作家になったような郷ひろみですが、私生活の切り売りは当事者本人たちにとっては仕方ないにしても、子どもなど与える影響ははかり知れませんから、ほどほどにしてもらいたい、と思っています。それにしてもこうした暴露本買う人がこの国では多いことがよく分かりました。
やっぱり郷ひろみは歌手なんですから、歌で勝負してもらいたいな、と思っていたら、歌出ましたね。話題のある時にタイミング良くリリースできたのか、リリース予定があったので私生活を犠牲にしてまでいろいろ放出したのか、これも想像するしかありませんが、芸能人らしいことは確かです。あの海外で成功しようとしている元アイドル歌手もしっかり郷くんの騒ぎに便乗してますから、まさに「ようやる、ようやる、ヨーヤルゼリー(by 小松政夫)」。
さて、「Kissが哀しい」はMacintoshファンではおなじみの女優、新保あささんも出演しているお昼の連続テレビドラマ「白衣のふたり」(製作東海テレビ、フジテレビ系)の主題歌です。ボサノバ的なサウンドにひところの甘いヴォイスがのっかって実にいい感じ出てます。郷ひろみってこんな歌うまいのかって再認識させられました。こんな素敵な歌があるのなら、なにも私生活を暴露しなくても自然にヒットしたと思われますが、彼はそう判断しなかったようです。カップリング「ふりむいてほしいのは僕じゃない」なんて、別れた誰かに対する歌みたいで、なんか聞いていて感じいってしまいます。歌の世界だけかもしれませんが、未練がてんこもりになっております。なら別れなきゃいいじゃない!! (Sony Records、SRDL-4512、1020円)
<反省>花粉症だいぶ終息してきましたね。ここんところマシです。花粉症の皆さん、もう少し頑張りましょう。
25日夜「男はつらいよ」シリーズの長浜バージョンが放映されていました。あのロケがあったころ、現場に居合わせてこの映画の取材をしたことを思い出しました。主役の渥美清さんがとっても生き生きとしていたのを見て、映画作りの世話をボランティアでして、いつも渥美さんの側にいた人に聞いたら「とんでもない。渥美さんはメーキャップで隠しているけれど、だいぶ疲れてはるみたい。本番の声がかかるまでずっと休んでいらっしゃるもん。よく頑張って撮影してはるわ」ともれ聞きました。さすが役者。カメラや人前では疲れた表情を見せることすらなかった。プロ根性、というのでしょうか。親父も好きだった「寅さん」。「渥美さん」の楽しい演技のうらに隠れた人柄がまた好きでした。
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<今週の一句>花粉症 来シーズンまでの お別れね(mako-rin詠める)
筆者/copy right=フルタマコト
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